2015年11月26日木曜日

ウェブマーケティングと心理学:「類似性とカクテルパーティ効果」

 自分と似ている他者が満足したモノなら自分も満足するに違いない、このような心理を心理学の法則で類似性といいます。

ウェブマーケティングに応用すると、ホームページのコンテンツ作成に役立ちます。例えばある宿泊サイトの口コミに、幼児連れの宿泊でしたが、幼児用の貸出品が豊富で助かりました。と掲載されていたとします。もしその口コミを同じ属性(幼児連れファミリー)のユーザーが見れば、自分も同じように満足するのではと思うわけです。

他には「改善事例」、「利用者のインタビュー」、または掲載する人物の写真等に応用可能です。例えば改善事例だと、BtoBで自社と似た会社が、あるサービスを利用して成果を上げていれば、そのサービスに興味を持つという事です。

 テレビCMもこの類似性の効果を利用しています。例えばある車のCMで30代男性の芸能人が出ていたとします。それを見て気になるのは、30代の男性、もしくはそれに近い年代ですよね。企業側からすると、30代男性の芸能人を起用する事で、ターゲットに対し、このCMはあなた向けの商品ですよとPRしているのです。

 単純な例でしたが、発信側が知るべき本質は、いかにして自分向けの情報だと思わせるか、です。その為にはまずユーザーニーズを知る事からですよね。


類似性と似ていますが、心理学でカクテルパーティー効果というものあります。「音声の選択的聴取」や「選択的注意」と呼ばれています。どういう事かというと、カクテルパーティというにぎやかな場所で、周囲の人も自分の対面の人も同様のトーンで話しているにも関わらず、対面の人の声だけは、聞こえてくる。
つまり人は自分に関心のある事は頭に入ってくるけど、関心のない事は頭に入らないって事です。ウェブマーケティングにおいては情報提供の際に、自分向けの情報だとユーザーに思わせて、関心を惹きつける事が出来ます。

具体的にはナビゲーション作成や広告文、またはキャッチフレーズやタイトル等、文言全般に有効です。例えば文言に属性を盛り込む、「ビジネスマン」、「ファミリー」、「カップル」と記載する事で、該当のユーザーの意識をこちらに向けることが出来ます。
他にはコンテンツの「このような方にオススメ」とか「初めての方へ」もこの効果に当てはまります。

応用編としては「目的別」「用途別」のナビゲーションがあります。ホテルのHPですと「記念日で泊まる」「ペット同伴で泊まる」等です。
その文言を見た該当ユーザーは、リンク先に自分が求めている情報があるに違いないと思うはずです。

この2つの違いはウェブマーケティングの観点から見るとかなり判別しづらいですよね。しいて言えばカクテルパーティ効果は、消費行動モデルの入り口、少し古いですがAISASだとAttentionの「認知」、類似性は認知とその後の、Interest 「興味」かなと思います。コンテンツの内容までが範囲って事です。
それぞれの詳細は下記の参考リンクを読んでみて下さい。かなり面白いです。

ちなみに認知の定義ですが、厳密にいうとAISASにピタっとはまるわけでなく、HPのコンテンツか広告なのかによって変わってきます。広告だとサイト訪問前の自社の認知、コンテンツだとサイト訪問後の、自分向けの情報の認知です。

心理学の効果って目に見えませんが、かなり重要だと個人的に思っています。人が情報を得る際は、このような「無意識の判断」を繰り返しているからです。
供給側はそれを踏まえる事で、ユーザーに「分かりやすく」情報を伝達する事ができると思います。

参考サイト

『類似性の構造と判断――他者との比較が消費者行動を変える』を執筆して
http://www.yuhikaku.co.jp/static/shosai_mado/html/1403/13.html

私たちの脳は面白い! 「カクテルパーティー効果」に見る上手な意識の使い方
http://www.huffingtonpost.jp/lealta/post_7893_b_5533026.html

2015年10月30日金曜日

ユーザー視点で見たリスティング広告

 リスティング広告そのものとユーザーについて深く考えました。この2つを理解していれば、成果を残せると信じてます。ただ学ぶほどにあれもこれも覚えなきゃってなりますね。今出来る事をやり続けるしかないですが。
 スライドシェア、行ったり来たりで見ずらいです。すみません。ちなみに「P2」のPはスライド番号ではなく、中の右下のページ番号です。


P2  まずはじめに購買行動と、リスティング広告がどう関わるかを把握しておく必要があります。
単純に所有したい、購買する事で他者の注意をひきたい、リラックスしたいという欲求だけでは購買行動につながりません。それに加え、過去の購買が有効だったという経験と、有効であろうという期待があってはじめて、購買行動につながります。

 新規顧客を対象にした場合、施策者は購買するしないそのものに直接影響を与えられるわけではないですが、購買の後押しをすることはできます。それは上記の「期待」を促進させる事。リスティング広告においては、広告文やLPのコンテンツで商品の魅力をPRすることで、購入が有効であろうという期待値を上げる事が可能です。



P3  リスティング広告は、購入の期間や商品の種類が具体的に固まっている顧客を誘導するプル型広告です。商品を購入する為、ネットで検索しているユーザーを刈り取っていくイメージですね。その他の属性の顧客は、SEO等の施策に任せましょう。きちんと施策同士の棲み分けをする事が大切です。
SEOやコンテンツマケティングのように顧客獲得に一定の期間をかける育成型施策ではありません。予算に余裕があればそのうち客に予算をつぎ込んでも良いですが、そう簡単には費用対効果は出ないので、追いかけすぎないことも大切です。
ちなみに検索連動型広告と同種として言われる「コンテンツ広告」、グーグルのディスプレイネットワーク広告、ヤフーのディスプレイアドネットワーク広告、は育成型に属します。尚基本は商品について知識のない新規顧客が対象になります。


P4-5  もう一つリスティング広告の特徴はユーザーエンゲージメントの期間が短い事が挙げられます。基本は商品購入を具体的に検討している「今すぐ客」のため、何度もサイトに訪問するわけではないです。
もちろん商材によりますが、訪問期間は初回のサイト訪問から購入まで、1週間くらいまでが旬、長くても2週間程度でしょうか。それを過ぎてしまうと購入自体をやめてしまうのか、他社で購入してしまうのか、モチベーションが下がってしまいます。そういう背景を理解して訴求を行う事が大切です。鉄は熱いうちに打て、ですね。
その為にはリマーケティングで一度自社サイトを訪問したユーザーの再訪を促したり、期間限定の訴求(特典や広告文)や、不安を解消させるコンテンツで、購入の背中を押してあげます。
その他ユーザーの離脱を防ぐには、出来るだけ1枚完結型のランディングページにする事や、余計な動線を配置しない等があります。


P6  WEBマーケティングの施策の中でも、リスティング広告はPDCAの重要度が大きな施策です。その理由をいくつか挙げていきます。第一に施策に即効性がある事です、広告文を作成するとすぐに出稿することが出来ますし、 入札金額もリアルタイムで操作できます。
またその効果はアドワーズやグーグルアナリティクスで詳細かつ容易に検証する事が可能です。設定もそれほど時間はかかりません。SEOやサイト作成はどうしても時間がかかってしまいます。

 もう一つの理由は変動性があるためです。オークション制度や競合の外的環境に左右されやすい為、綿密なチェックが欠かせません。データの変動に一喜一憂すべきではないかもしれませんが、変動が顕著な場合は、原因を探る為に仮説を立て、施策を打つ、という事もあるでしょう。
 
 3つ目は労力と成果が比例することです。リスティング広告は入札調整やキーワード関連の設定、複数の広告文の出稿やその効果測定などなど、コントロール可能な幅広いタスクがあります。きちんとトライ&エラーをする事で、方向性が間違っていなければ、効果が見込めるって事ですね。


P7  このページは備忘録です。読み飛ばしてください。今の自分が思いつくのはこんな感じです。

Plan
・検索するキーワードの発見、選定
・キーワード設定、部分一致、完全一致等
・目標獲得単価と予算の決定
・戦略策定 
 施策の目的、方向性 するべき施策の決定
 スマートフォン、ディスプレイネットワーク、リマーケティング
 ヤフースポンサードサーチ、ヤフーディスプレイネットワーク
・競合調査、
 検索結果画面、ウェブサイト、価格
 3C分析
 USP作成
 ターゲティング
 セグメンテーション
・LP戦略

Do→
・アカウント設計、キャンペーン、広告グループ作成
・広告タイトル、文を作成、
・LP制作、
・カスタマージャーニー、ペルソナ、ユーザーシナリオ
・グーグルアナリティクスとの連携
 アドワーズ
 ヤフースポンサードサーチ
Check
・効果検証 
 グーグルアドワーズ
 グーグルアナリティクス

Action
・改善施策
 ターゲット、キーワード選定、
 広告タイトル、文を作成、
 LPを設定、カスタマージャーニー、ユーザーシナリオ
 予算設定
 入札調整
 アカウント構成


P8 せっかくP4-5でリスティング広告とユーザーの接点について述べたので、リスティング広告版のカスタマージャーニーを作成してみました。分かりやすさ優先で、リスティング広告に限定しました。以下は補足です。

行動・・・実際は検索時に広告文だけではなく自然検索欄も見ると思います。

思考、感情・・・ホテルを選ぶ基準を今回は立地だけにしましたが、他にもグレードや食事、価格など色々ありますよね。年齢、性別などの属性や目的によって大きく変わると思います。

比較、検討・・・ランディングページを閲覧した際は、そのページに限らず(この場合はLPだけで完結しないと想定)サイト内にオリジナリティを訴求できていると、ユーザーに自社を印象づける事ができます。即決しないまでも、再訪の可能性を高めることが出来ます。

 ちなみに検索ボリュームは「札幌ドーム ホテル」1600した・・・
 検索結果画面にポータルサイトが占有している場合は、それに負けない広告文を考えないといけません。ポイントはポータルサイトとの差別化。自社ならではの訴求方法があると思っています。占有されてるからこそ、ですね。機会があったら書きます。
 今回はPC用でしたが、スマホだとまた内容が変わってきそうですね。当日予約分とかスマホが多そう。当日限定配信で地域を札幌に設定しても面白そうです。広告文も属性によって使い分けると効果があるに違いありません。例えば平日は出張用、土日はファミリーやグループ用等。あぁ検証してみたい。

P9-11  施策のほとんどの時間をアドワーズやグーグルアナリティクスのデータとにらめっこしていませんか。確かにリスティング広告は入札金額の細かい調整や管理するデータも膨大な為、仕方ない面もあるかもしれませんが、没頭し過ぎると、数字に溺れてしまう事もあります。
客観的なユーザー視点を保つために、ユーザーが閲覧する検索結果画面を定期的にチェックしてみませんか。いわゆるSEMサーチエンジンマーケティング)の視点ですが、意外に見落とされている気がします。
アドワーズ管理画面の「広告プレビュー」で、自社と競合の広告文がどう表示されているか、いや「顧客からどう見えているか」、を確認しておきましょう。ユーザーと同じものを見る事で、顧客視点を獲得出来ます。

 また広告文だけでなく、同じ検索結果画面内でSEOの表示も確認しておきましょう。これら2つの互いの位置関係を把握する為です。特定のキーワードで検索時、広告文、SEOの両方が検索結果画面に表示されている場合は、検索連動型広告のクリック数、クリック率は自然検索結果の順位によって変わるといわれています。ですがそれがどのくらい変わるかは競合の状況やキーワードの種類など、ケースバイケースだと思います。
例えば自然検索結果の表示が1ページ目と3ページ目では、広告の効果が変動する可能性がありますよね!?色んな角度からユーザーを検証していきましょう。時間がある方は確認してみてはいかがでしょうか。()

 もう1つ個人的にためになると思っているのが、自社と関係ない分野の検索結果画面を見る事です。クリエイティブのヒントになるんですよね。上位表示されている広告文は優れているものが多いです。良い部分を取り入れて、質の向上に役立てましょう。まあこれは検索連動型広告だけではなく、世に出てる全てのキャッチフレーズに言える事ですが。まったく関係ない分野でも自社に結びつけて考えれば、新たなアイディアが生まれるかもしれません。


P12  広告文作成で意識したい訴求方法の一つに差別化があります。リスティング広告はユーザーにとって比較しやすいので、担当者側は、競合他社の中の1つに自社があるという相対的な視点が重要です。このユーザーの傾向を掴んでいれば、他社より一歩先んじた広告文を作成できると思います。
 まずは検索結果画面を見て他社の広告文を確認してみます。価格訴求の広告文が多いですね。ここに同じ路線の広告文で出稿しても埋もれてしまい、ユーザーの目に留まりません。(ユーザーが「格安」等の検索クエリで検索していれば話は別です)
この場合はあえて競合他社と異なる路線の広告文でPRする事も戦略の一つ言えます。
例えば商品の質や利便性を訴求すると、内容だけでなく、「見た目」も差別化され、ユーザーの視認性を高める事が出来ます。

もちろん他の大切な要素とのバランス、

広告文と実際のサービスのマッチング、
そのキーワードで検索するユーザーの心理に応える

が必要ですが、このユニークである事、も意識したい訴求のポイントです。

ちなみに今回の差別化は、訴求軸、でしたが、表現方法を色々工夫すれば、それ自体が差別化になりますよね。
内容が類似していても、クリエイティブの質が高ければ、「ユーザーにとっては違うサービス」です。
自社のサービスをいろんな角度で見つめ、良さを取り出し、さらにそれをどう表現すればユーザーに伝わるか、を考え続けましょう。
まあセンスについては私もあまり言えないですが、テクニックで8割はカバーできるのでなんとかなります。
せっかく良い広告文を作っても、他社と酷似していたら魅力は半減してしまいます。サービスの質が良ければなおさらもったいないですよね。表現次第でサービスの質が変わる、といっても言い過ぎではないと思います。


P13  予算の割り当てはモチベーション(コンバージョン率)の高いキーワードを優先しましょう。「旅館 魅力」「旅館 箱根 日帰り」の2つのキーワードの内、購買意欲が高いと推測できるキーワードは後者のほうです。なぜなら「旅館 魅力」は旅館に関する調べ物をしたい、つまり単純に情報取得が目的だが、「旅館 箱根 日帰り」の検索意図は具体的な場所と行動が表れてるからです。

これらのモチベーションの高いキーワードを集め、キャンペーンを作成すると、費用対効果の高い運用が可能となります。これらのワードに効率よく予算を投入出来るためです。仮に1つのキャンペーンの中にモチベーションの高いKWとそうでないKWが混在していると、モチベーションの高いKWに予算が配分されない事があります。
アドワーズの仕組みとして、検索ボリュームの高いキーワードに予算が集中しやすいからです。検索回数の多いキーワードは、モチベーションが低いため、購買には直結しません

リスティング広告ではこのようなアカウント設計の重要度は大きいです。効率性を高めるために覚えておきたい運用方法です。


P14 リスティング広告やマーケティングに欠かせない考えが、仮説思考です。初めに仮説を立て、検証し、修正しながら施策を進めていきます。ユーザーという不確かなものを確かなものにするのですから、1発で的中する事はなかなかありません。繰り返し仮説検証を行うことで、仮説の精度を高めることが出来ます

P15 仮説はトライ&エラーの積み重ねですが、ただ漠然と考えていては、効率が悪くなってしまいます。施策の軸を定める大切な1歩目の精度を上げるには、仮説立案の為の材料を集める必要があります。
運用初期の段階では、数値データがない為、その材料になるのは、定性分析とリアルのマーケティングです。3C分析やペルソナ分析もそうですが、自社顧客のデモグラフィックや趣味嗜好を出来るだけ把握しておきましょう。そうする事で検索キーワードの予測や広告文の効果を高める確率を増やすことが出来ます。

 仮説を実行する際は、訴求ポイントを明確にする事が大切です。例えば論理的な広告文が効果があるのでは?という仮説があったとしましょう。その場合、広告文には論理的以外の要素は、排除するべきです。感覚的など、他の要素を中途半端に入れてはいけません。何が効果があったのか、がわかりづらくなるためです。検証を繰り返して他の要素を盛り込むならわかりますが、あくまで初期の検証ポイントは、要素は少なくです

 データが溜まったら、アドワーズやグーグルアナリティクスの定量データを基に効果検証をしていきます。数値は客観的な事実を表しますので、それに基づいて良し悪しの判断をします。ここで意識したいポイントは、データという定量分析だけでなく、定性分析も組み合わせる事。データに至った理由を考える事で、より高度な分析が可能になります。何故その広告文のCPAが良かったのか?ユーザーに響いた文言があったのか?それは○○なのか××なのか、改善のポイントを見出していきます。そうする事でユーザーニーズを予測する事が出来ますし、他の施策に転用可能かを検討することが可能になります。検証こそ新たな施策を生む大切な作業です。


P16  データ分析で重要な考え方として大から小で見る事があります。リスティングに限らず全ての分析業務、施策に通じる事です。
初めに大きなデータを見て、ボトルネックが見当たらなければ、一つ下の構造のデータを見ていく、
膨大なデータがあり、かつ構造化されているリスティング広告に必須の考えですね。
具体的には、まず要素の大きいキャンペーンから分析しはじめ、気になるキャンペーンを発見したら、今度はそれを構造する要素の大きな順、広告グループ、キーワードとブレイクダウンしていきます。初めから広告グループやキーワードに焦点をあてる必要はありません。気持ちを抑えて、鳥の目を意識します。
数値も同じように大から小で見ていきます。まず初めに見るのは重要数値のCPAそして次にその一つ下の構造のCVRCPCといった順番です。
真剣に取り組む人ほど、詳細にこだわってしまうんですけどね。ですがそれだと自分の立ち位置を見失うといいますか、客観的な視点を保てなくなります。もちろんデータ数値と、実際のユーザーの行動を照らし合わせる事を忘れてはなりません。


P17  リスティング広告の間接効果を確認することが出来ます。
ここでいう間接効果とは、コンバージョン以前の訪問に対する貢献の事で、貢献したチャネルにアシストコンバージョンがカウントされます。
例えばコンバージョン時に訪問したチャネルが自然検索だったとしても、初回訪問はリスティング広告だった可能性がありますよね。この場合はリスティング広告がアシストコンバージョンになります。
ユーザーの行動を考えると、確認する価値のあるデータですよね。今はマルチチャネル化なので、コンバージョンまでに複数回の訪問、チャネルでサイトに流入するのは当たり前です。
 一見リスティング広告経由のコンバージョンが少ないように見えても、アシストコンバージョンは多いかもしれません。特にリスティングは新規訪問ユーザーの割合が多いはずですから、チェックしてはどうでしょうか。
 またリスティング広告種別のアシストコンバージョンも知ることができます。パラメータを付与する必要がありますが、ディスプレイ広告、テキスト広告、またはリマーケティング広告、それぞれの間接効果を把握することが出来ます。



P18  グーグルアナリティクスの「リピートの回数や間隔」でサイト初回訪問後の一定の期間内のセッション数ごと、または経過した日数ごとのセッション数やページビュー数を確認することが出来ます。
これは「期間」がポイントのリスティング広告にとって価値のあるデータです。
さらに「コンバージョンに至ったユーザー」でセグメントする事で、CVしたユーザーの、初回訪問からコンバージョンまでの訪問回数と日数を把握することが出来ます。
 まぁ、ある程度は知ってると思うのですが、実データで検証出来る事で、施策を打ちたくなりますよね。リスティング広告では、リマーケティングの配信設定に活かすことが出来ます。
例えば初回訪問から5日間までに、CVに至ったユーザー数が多ければ、リマーケティングの配信を訪問から5日間に設定します。さらに入札価格を多めに調整することで、モチベーションの高いユーザーに効果的に広告を配信することが出来ます。


P19  グーグルアナリティクスのインタレスト: アフィニティ カテゴリ レポート。ディスプレイネットワークやリマーケティングのセグメンテーションに役立ちます。


P.20 せっかくフォームまで誘導出来たのに、離脱されては苦労も水の泡です。
離脱率を下げるには、一言で言うとユーザーに必要なことをわかりやすく伝え、手間をかけさせない事が大切です。
EFO(エントリーフォーム最適化)のポイントを一部記載します。

・入力項目を極力減らす。どうしても必要な情報以外求めない。
・手間を減らす。プルダウン、郵便番号を入れたら住所が表記されるなど
・必須任意を必ず表記する。任意は場合によっては削除する。
・現在地を知らせる/ゴールが見えるとモチベーションを保てる
・間違いをその場で知らせる。入力後に知らされるのは精神的に負担がかかる。
・メリットを知らせる。面倒な行為も入力する事で、今後手間が減りますよ。
・入力例を記載しておく。簡単に理解してもらうようにする。

最後まで見て頂きありがとうございます。

2015年10月3日土曜日

リスティング広告とSEOを併用する理由は陣地論にあり!?

 あるキーワードで自然検索結果が1位の場合、同じキーワードをリスティング広告で出稿すべきか?前から言われていたこの議題、SEM関係者の方は聞いたことがあると思います。

 2012年グーグルはオーガニック検索で1位でも、検索連動型広告の出稿で50%クリック数を高められると発表しました。SEOが絶好調でもリスティング広告を買うべき理由(記事後半)
 ただ言葉だけ聞いてもピンときませんよね??SEOで1位なんだから、リスティングに出稿してもクリック数は変わらないんじゃない?と思っている人もいるはずです。私も以前聞いたときはそうでした。
 総クリック数が増加する理由は、結論から言うと、検索連動型広告に出稿する事で、同じく出稿している競合に、ユーザーが流入してしまうのを防ぐ事が出来る為です。リスティングとSEO、それぞれ別に考えていると、捉えきれない話ですよね。
 そのメカニズムを理解するには、SEOとリスティング広告を同じ視点で考えなければなりません。


ユーザーにとってはリスティング広告もSEOも同じ


 自分が検索する時、自然検索をクリックするか、リスティング広告をクリックするか初めから決めていますか? 検索者がたまたま目についたのが広告なだけであって、検索時にどちらをクリックしようと決めている人はあまりいないと思います。(最近は広告スペースと認識されてきたかもしれませんが)運営者目線からすると、SEOとリスティングは施策内容が全く違うから、自然と「別物」と考えがちです。ですがユーザーからすれば2つは同じ「検索結果」なのです。このグーグルの調査結果はそれを顕著に表してるのではないでしょうか。


リスティング広告の本質は陣取り合戦!?

 
 もう一つこの調査結果を因数分解する上で、考えさせられることがありました。それはリスティングもしくはSEMの本質といいますか、クリックされる事だけ考えるなら、やっぱり「陣地の影響」が大きいのではという事です。自然検索と同じ内容(と仮定します)の広告文にもかかわらず、出稿する事で、クリック数が50%増加するというのは、単純に陣地の位置、広さがクリックに影響を与えると考えざるを得ません。
 なぜなら検索時のユーザーの頭の中は以下のようだと思うからです。
 まず検索キーワードがブランドワードの場合、ブランド名で検索するユーザーは、検索した段階で、目当てのサイトが決まっていますよね。にもかかわらず他社に流出してしまっている。これはとても考えづらい事です。人は、頭の中にない事は目に入らないからです。(心理学でいうカクテルパーティ効果)
だけどデータが事実を証明している。ブランドワードで検索されてるのに、SEO一位である自社がクリックされない。
考えられる状況は、競合他社が自社よりも良い位置に掲載されている、くらいしか思いつきません。つまり競合他社が広告により上位表示されていた為、ユーザーは先に目に入った他社の広告をクリックしてしまった、のかなと。図1)
自社に訪問しようとしたユーザーが、自社を「素通り」するのは想像しがたいです。なので競合がクリックされた原因は位置的要素だと推測します。

 本当にそれだけで50%も高くなるのか?って感じですよね。あくまでデータの枠内で推測したものなので、証明より論を楽しんでいただけたらと思うのですが・・・もう少し細かいデータを知りたいですね。



 つい先日これに関連するヤフーの記事、なぜスポンサードサーチとSEOは両方必要なのか、の中で興味深いデータがありました。SEOとスポンサードサーチの併用をやめてしまった場合、オーガニック検索からの獲得ユーザー数はやめる前と比べてPC36%減、スマートフォンは77%減となったそうです。とくにスマホは陣地の効果を如実に表していますよね。やっぱり上位表示、専有面積の影響は大きいのかなと思います。
 これって結構認めたくないんですけどね。併用するメリットはそんな単純な理由かい?って。広告文の質もクリックに貢献していると思いたいです。それとも広告文とSEOスニペットそれぞれ異なる内容で、質も良かったとか。それでも50%も増加となると、うーん(笑)

 まあこのケースに限らず、検索結果画面を見ていて、この広告文がクリックされているとしたら、その内容よりも、単純に「いい位置にあるから」じゃない?と思う事があります。コンバージョンしているかは別ですけど。それがきっかけで今回の陣地論?を思いつきました。

 ブランドワード以外のキーワードの場合は、クリックされる要素は陣地だけではないですよね。ユーザーは目当てのサイトはまだ決まっていないですから。ここがブランドワードとの違いです。広告文の質がより重要になります。
ユーザーがクリックする可能性がある他の選択肢は、ナレッジグラフ中のECサイトのリンク、ブランドワードよりも多い競合の数、などが挙げられるでしょうか。これらも陣地と言えば陣地ですね・・・でもこれならSEOに加え広告を出稿するメリットを見出せそうです。50%はある程度納得できます。この場合出稿の目的は、本来のPULL型、つまり競合への流入を防ぐというよりは、自社を認知してもらう為という事になります。


 まあ実際併用の効果がデータで実証されているので、するべきだとは思うのですが、自分で検証してみると独自の発見があるかもしれません。一番目のリンク記事によると、キーワードの種類によってデータが大きく異なるそうです。
 担当者としては、何も施策をしてないのに総クリック数が増加している場合は、競合が出稿を取りやめたのではと予測することが出来ますね。あくまで可能性の話ですが。意外に外的要因って気付きづらいのでは?検証可能なうらやましい方は、是非結果を教えてください。

2015年8月31日月曜日

ポータルサイト集客の肝は「相対性」/マーケティングで大切な「USP」「3C」と絡めてみました

 ポータルサイトについての記事はあまり見かけませんが、興味あるサイト担当の方は多いはず。まずユーザー視点からポータルサイトの特徴、閲覧傾向について述べ、それを踏まえた上で、サイト担当者の意識するポイントや考え方について書かせて頂きます。途中からそれにマーケティングの話を絡めていきます。販売促進の土台となる内容ですので、ポータルサイトになじみのない方も十分に読む事が出来ます。

 ただ一口にポータルサイトといってもあいまいですよね。ここではある特定の業界に関する様々な情報、コンテンツを持っていて、かつ購入や予約、申し込みが可能なウェブサイト、ECポータル?という事にしときましょう。業界は旅行、ホテル、不動産、人材派遣、ブライダル等を想定しています。

 それにしてもこのポータルサイト、年々存在が大きくなっていきますよね。自社ホームページメインで集客したいけど、どうしてもポータルサイトに頼ってしまう・・・って方、多いのではないでしょうか。
 
 それもそのはず、ユーザー目線で考えれば、購入の際に役立つ情報満載で、複数のサービス、価格が比較可能なポータルサイトを利用するのは当然です。
購入以外にも、ポイント特典や、複数のサービスを同時に申し込めるパッケージ予約もあります。さらに求める情報にアクセスしやすいのも見逃せません。価格順にソートできるのはもちろん、希望の条件を検索、絞り込む事も出来ますし、サイト内検索機能やお気に入り機能もあります。とにかく利用者にとってポータルサイトは便利なんです。

 WEBマーケティング目線で分析すると、大手人気サイトはユーザビリティまで良いです。膨大な情報があるにもかかわらず、情報整理がうまいので見やすいです。EFOも無駄を省いていてスバラシイ。目に見えないノウハウをひしひしと感じます。
さらには膨大なコンテンツのおかげでSEOに強いのも大きいですよね。検索にもひっかかり、口コミというユーザーの生の声を聞けるコンテンツまである。それは利用しますとも。自分もそうですし。

ですので手数料がかからない自社サイトから顧客を取り込みたい気持ちは分かりますが、無理に抗う事はせず、共存共栄を考えましょう。受け入れ可能な限り、ポータルサイトで集客して損する事はありません。そこから自社サイトに流入する事も良くあります。広告ツールと考える事も出来ますね。自分のケースだと今巷で流行っている某飲食系ポータルサイトから、より詳しい情報を求めて直接お店のサイトに訪問する事があります。
 

先ほどユーザー視点から見て、ポータルサイトは複数の異なるサービス同士の比較が容易と言いました。サイト担当者として運用のポイントを掴むためには、ポータルサイトユーザーの行動の特徴を、一般サイトユーザーと比較して理解する必要があります。

その違いを一言で言うと、ポータルサイトは広く浅く、一般ユーザー(ポータルサイト以外)は狭く深くです。

まず一般サイトはサービスの情報量が多いため、詳しく情報収集できます。ただ当然自社の製品しか見る事が出来ません。他社の製品を知りたい場合は、自然検索や広告等で、検索、訪問するという手間が発生します。自然検索画面には不要な情報も交じっていますし、キーワードを考えたりしなければなりません。よってユーザーがサービスを比較検討する範囲は狭まります。

一方ポータルサイトは個々のサービスの情報量こそ一般サイトに劣りますが、自社と競合他社のサービスを1つのサイト、または1ページの中で見ることが出来ます。ポータル(港)、入り口、なだけあって、サービス一覧画面や先述したサイト内検索等、個々のサービスにアクセスしやすい条件が揃っています。ですのでユーザーが吟味する範囲は広まります。


このようにポータルサイトのユーザーは、一般サイトユーザーと比べ、接触するサービスの数が多いと考える事が出来ます。多くの競合の中の1つに自社があり、その中で取捨選択をする横断的な目線が特徴です。


 それを踏まえると相対的視点が集客の肝となります。自社のサービスを客観視して、競合他社と比べる視点が非常に大切です。自社にあって他社に無いサービス(強み)は?またはその逆はどうだろうか。サービスだけでなく、サイトでの訴求方法まで徹底的に比較して、自社のアピールポイントを見出していきます。

 相対的視点の例として、朝のテレビ番組を挙げてみました。(ポータルサイトではないですが面白そうなので)
 ネットや動画に押され気味とはいえ、朝はなんとなくTVを見ているという人は多いはず。
視聴者が多い時間帯だからか、幅広い世代向けの構成になっている気もしますが、
テレビ局ごとに独自の色があり、それぞれ異なる路線を確立しているように見えます。
この中で新たなサービスを提供するとしたらどうしますか?



 
 基本は競合相手と違った強みをPRします。常に競合がやってないことを探し続ける姿勢が重要です。
 私の場合は、「男性向けに特化した番組がない」事に着目しました。
なので、スポーツ色を出す、アイドルや、男性に人気のタレントを起用する。もしくはワールドビジネスサテライトのようにビジネスマン向け、経済路線で行く、などを考えました。
 ただそれだと母数が少なくなりますよね。なので競合と重複を承知で、いかにそれを上回るかと考えるのも一つの手です。このケースに限らず、必ず競合の動向は意識しましょう。
ブルーオーシャンの場合は、サービスの種類、レッドオーシャンなら質を比較する事になるでしょうか。
 恐縮ですが、上記の番組の内容等の真偽は定かではないので、あしからずです。ただ施策や運営の方向性を考える際は、競合他社を徹底的に分析し、マーケットを俯瞰する事に注目して頂ければと思います。
 余談ですが、私たちはマスメディアから学ぶことはまだまだ多いです。企画力からコンテンツ作成のヒントは大いにありますし、CMは広告、動画作成に活かせるノウハウが詰まっています。


 このように自社の独自の強みを作り、他社と差別化を図る販売戦略をマーケティング用語でUSP(Unique Selling Proposition)作りといいます。 
 ただこのUSPは3C分析、(「市場、顧客(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」)に基づいている事が非常に大切です。今述べた競合他社とのかかわりだけでなく、顧客と自社の状況とバランスがとれている事が重要です。

 顧客については、ユーザーが求めているモノに強く焦点を合わせる必要があります。せっかく競合と差別化を図っても、ユーザニーズが無ければ意味が有りません。先の例だと、もし朝の時間帯の視聴者の潜在ニーズが「今世の中に起こっている出来事を知りたい」だとしたら、差別化の程度を抑え、ニーズに沿う事を優先するべきです。
 顧客視点を考える際に大切なのは、自社製品を自分達の評価だけで判断しない事です。良し悪しを判断するのはお客さんです。作り手主導のプロダクトアウトではなく、顧客目線のマーケットインが基本です。成し遂げるまでは、あくまでPULL型です。

 これら2つに自社の経営方針や作成可能な現実的な物的、人的資源を踏まえます。先の例なら、そもそも自社が目覚ましテレビやWBSのような番組を作成できないとなると、話が成立しません。まぁこれは自然とそうなると思います。


 ここまではUSPを戦略上の視点で見てきました。次は表現する視点で見てみます。
 ユーザーに自社製品をPRする際には、USPを意識する事が大切です。
具体的なUSPが表現されているキャッチフレーズを挙げてみましょう。

「空港に近いあるある率NO.1」    ○○レンタカー
「野菜の○○(サービス名)」      ファストフードショップ
「チョコモンブラン発祥の地」       スイーツショップ

思いつきで書きました。覚えていたという事です。誤解を恐れずに言いますと、サービスとしては特段斬新ではないと思います。だとしても、他社にない訴求方法で、分かりやすく伝える事で、顧客を惹きつける事が出来ます。「USPを訴求する」事に価値があるのです。逆に言うとUSPがうまく成り立っていれば、ただそれを表現するだけなのです。

 何を訴求すれば良いかというのは、机の上で頭を捻っているだけでは思いつきません。口コミやアンケート、またはユーザーインタビュー等を実践してみると良いでしょう。例えば上記のレンタカーなら「空港近くで車を乗り捨て出来るところを探していた」等の顧客の声がヒントになります。同様の声が多ければ、顧客ニーズがあるという事です。
  自分たちが気付かない自社の強みを顧客が教えてくれます。


話を競合比較に戻しますと、競合と比較をする際は、自社「サイト」にあって他社「サイト」にないものは?の視点で良いと思うのです。なぜならネットユーザー(特に新規ユーザー)がサービスについて得る情報は、実際のものではなくて、あくまでサイトの情報の中で得るものだからです。
 極端に言うと「実際に商品の優劣」より「サイト上で自社のサービスがどう「見える」かを気にするべきです。何が言いたいのかというと、サイト上で可能な限り自社製品についてPRするのが重要だという事です。(ポータルサイトの場合、量が限られますが)。ユーザーに気づかれない情報はユーザーにとっては存在しないと一緒です。せっかく魅力あるサービスがあるのに、サイトにそれを訴求していない、もったいないサイトを何度も見たことがあります。もちろん盛り過ぎず、事実に沿ったものが前提ですし、長い目で見れば実際の商品の良さが最も大切なのは言うまでもありません。

蛇足ですが、そんなに情報を掲載してもお客はそこまで見ていない、と思うかもしれません。確かに一人が知りたいコンテンツなどはたかが知れています。何故沢山の情報を提供したほうが良いかは、千差万別のユーザーニーズに応える為、それとSEO対策の為です。現在は顧客ニーズが細分化し、個人の検索リテラシーが高まっているので、より重要性は増しています。あるコンテンツがAのユーザーに興味が無くても、Bのユーザーにとっては価値のあるモノかもしれません。
顧客心理を考える時、自分ならこうすると鑑みるのはある程度有効だと思いますが、自分が思う以上に、ユーザー個々の価値観や背景が存在すると考えるべきです。幅広いユーザーの興味のあること、知りたいことに応えるコンテンツを作成するには、周りの人との協力が不可欠です。

3CやUSPは販売促進の基本かつ最重要手法です。ウェブだけでなく、リアルのマーケティングを基に、施策の方向性を定める事が、成功を左右するといっても過言でないと思います。

2015年8月6日木曜日

アナリストの矜持

データと予測が異なる時、異なる理由を明確にして、納得できる仮説を立てようとするか。
それとも理由が明確でないそのデータを受け入れるか。


仮に成果が同じだとしても、次のような違いがあるのではないでしょうか。

前者は試行錯誤により仮説の引き出しを増やす事が出来ます。それは解析士やマーケターにとって大切です。
なぜなら仮説は、データだけでなくサイトやユーザー心理、またはビジネス等のマーケティングを複眼視し、混ぜ合わせたものを創造力、連想力を用いて形にしたものだからです。
仮説の引き出しが多いマーケターは、より成果を生み出せると言えるでしょう。
 仮説に関連して、サッカーのザッケロー二監督も因果関係を考えるタイプのようです。
以下ブログから抜粋です。
試合の勝ち負けからではなく、「何が起きたのか」「何ができたのか」「何ができなかったのか」から入るようにしています。
局面や細部の分析を下から積み重ねて「だからこういう結果になったのか」とたどりつくよう心がけています。
原因と結果を突き止め、後々に活かすことを考えているのでしょう。
ただ後者にもメリットはあります。生産性が増し、多くのタスクをこなせます。当然かもしれませんが会社としては重要です。
シンプルにデータを活かすことは、消費者の多様なニーズを踏まえると理にかなっています。
深く考えすぎずにバッサリと切り捨てるバランスも重要ですよね。
結局は状況に応じてケースバイケースだと思いますが、(記事にもあるように)どちらを選択するかという判断も頭に入れておきたいところです。

2015年6月5日金曜日

自分の検索キーワード履歴を分析してみた。検索キーワードにはドラマがある

キーワードを「ユーザー軸」で分析する



「グーグル履歴」で、過去に検索した自分のキーワードの履歴を見てみました。 キーワードを「ユーザー軸」で分析する事で、検索時のユーザー心理を理解できないかと思った為です。
普段私たちがアクセス解析等で分析するキーワードは、「サイト単位」のキーワードですよね。 つまり一つのサイトに訪問する為に、不特定多数のユーザーが検索したキーワードかと思います。(現在は「not provided」でほぼ把握できませんが) 確かにそれはサイト訪問時の検索ユーザーについてわかるかもしれませんが、1サイトに限定された情報です。ですので汎用性がありません。
そこで今回は1ユーザー(自分のですが苦笑)が用いた検索クエリを時系列で比較してみました。 その内容や関係性を分析する事で、検索行為そのものの理解につながる「普遍的な」特徴が見えてきました。

角度を変えてユーザー(検索クエリ)を見ることで、検索行動だけでなくビッグワードについてもわかることがありました。ビッグワードに含まれるユーザーの意図です。 これはSEMやリスティング広告に役立つのではと思います。
もちろん数あるユーザー傾向の一例かもしれないです。データの母数が少ないですし。 ただ出来るだけ普遍的な特徴を取り上げました。皆さんも自分が検索する時を振り返ると、思い当ることがあると思います。
例えば自然検索時、直前に検索したKWに1語追加して再検索することありますよね?
よくあることだと思うのですが、そうする理由を考えたことありますか?自分の検索行為を客観的に振り返る事って、そうないのでは思います。 ちなみに私が考える理由は、初回検索時、検索結果画面に求めている情報が見当たらなかった為、です。 ただそれはユーザー軸でクエリを比較してこそ予測可能なことです。
グーグルが優れたユーザー目線を持ってるのは、こういう踏み込んだデータを膨大に所持している為かなと思いました。
けっこうユーザーを深掘りしてるので、ミクロ視点の一例になれば幸いです。

ユーザーは大から小で検索する

例1.
1回目の検索時の検索クエリ →  「引っ越し 業者」
2回目の検索時の検索クエリ →  「引っ越し 業者 単身」
一回目は2語、数分後に1語追加して再検索しています。再検索に至った理由は、1回目の検索で、期待したコンテンツが見当たらなかった為、と予測できますよね。 初めに大きなワードを入力して、ニーズが解消されない場合は、絞り込んだ検索をする、という傾向が伺えます。同様の傾向は他の検索クエリにもありました。

ビッグワードのメカニズムとそれを踏まえた運用の仕方

さらに検索者の(私ですが(笑))目的を「引っ越し 業者 単身」というクエリの内容から推測すると、 「単身向けの引っ越し業者を探したい」可能性がかなり高い事がわかります。にもかかわらず1回目は「引っ越し 業者」で検索している。
これは担当者として、ビッグワードをハンドルする大きなヒントになるのではないでしょうか。
つまり具体的な目的を持ったユーザーが、抽象的なKW(ビッグワード)で検索しているという事です。 それを踏まえると、どういう訴求方法が良いでしょうか。 抽象的な訴求では、不要なクリックがかさんでしまいます。特にリスティングでは本来の目的である費用対効果が出ません。
効果的に自社にマッチしたユーザーを集めるには、広告文やス二ペットにターゲットの属性名やメリットを具体的に盛り込む事が大切です。 そうする事で、自社に興味、関心があるユーザーをある程度特定することが出来ます。
例えばファミリー向けの引っ越し業者である自社が「引っ越し 業者」で出稿したとしましょう。「ファミリー」と広告文に盛り込むことによって、 CVに結びつきづらい単身向けを探しているユーザーのクリックを減少させる事が出来ます。
検索ボリュームが多いってだけで、とりあえずビッグワードを出稿していませんか。 幅広く訴求出来るのでは?という気持ちは分かるのですが、あいまいなイメージに沿うのではなく、あえて能動的に絞り込む事が大切です。 仮に効果が薄い場合でも、抽象路線に変更せず、具体的訴求でリトライするべきです。

何故ビッグワードはCVが高いのか

これまでの話だとビッグワードの検索母数が少ないのでは、と思った方もいると思います。もちろんビッグワードですから、他にも様々なユーザーの意図を含んでいるはずです。 例えば「ファミリー向けの引っ越し業者を探したい」というウォンツを持ったユーザーは「引っ越し 業者 ファミリー」だけでなく、 「引っ越し 業者」で検索する可能性があると考えています。
このような各シチュエーションのウォンツが幅広く集まっているので、ビッグワードは検索ボリュームやCV数が多いと推測することができます。

ユーザーは必ずしも意向に沿ったキーワードで検索しているわけではない

例1の1回目の検索KWは、なぜ「引っ越し 業者 単身」ではなく「引っ越し 業者」だったのか。検索時の状況を思い出しながら、 いくつか考えてみました。
  • 複数のキーワードを入力するのが単純に面倒だった。大まかなKWでも、求めている情報が検索結果画面に表示されるかもと思った。
  • キーワードがパッと思い浮かばない。知りたい内容は頭に浮かんでいるのに、適切な検索キーワードが思いつかない、 そんな歯痒い経験はありませんか? 不馴れなジャンルほどその傾向があるのでは。 検索ワードの想起としては、スニペット、サジェスト機能、虫眼鏡キーワードがありますね。 実際例1のキーワード「単身」の想起になったのは、3つの内のどれかだと記憶しています。担当者はこれらをチェックする必要がありますね。
  • サジェスト機能利用の際、良く検索されるキーワードなら、対応するコンテンツも多いのではと考えました。 これは多少の検索リテラシーをユーザーが持っている事が条件ですが。
  • ポータルサイトを利用しようと思った。とりあえずポータルサイトに訪問してみようと思った記憶があります。 担当者は「競合」にポータルサイトがないか、チェックする必要があります。実際に検索して、 検索結果画面を確認するべきです。

抽象的なキーワードは新規顧客、具体的なキーワードはリピーター

数は多くなかったですが、小から大で検索しているパターンもありました。
例2.
1回目の検索時の検索クエリ →  「パスタ 小松菜 ツナ ホワイトソース」
2回目の検索時の検索クエリ →  「パスタ 小松菜 ツナ」
1回目の検索で絞り込み過ぎて、読みたいコンテンツがありませんでした(笑)
ここから言えることは、知っているジャンルの場合は、細かくピンポイントで検索する事がある。 だから3,4語のキーワードはCVRが高いかなと予測できます。
3,4語のキーワードで検索する理由は、
  • よりマッチした情報を取得したい
  • 少ない回数で効率よく検索したい
などでしょうか。この大→小、小→大の傾向を考えると、
  • 抽象的なワードは新規顧客
  • 具体的なワードは既知顧客やリピーター
とも言えますね。
尚お分かりだと思いますが、この記事では実際に「引っ越し 業者」で検索した際どういう情報が得られるのか、 それがビッグワードなのかは重要ではありません。自然検索時のアプローチの仕方に焦点を当て、そこから何が言えるのかを考察してます。

マクロを知るにはミクロを知る

ユーザーニーズは千差万別で、それぞれに細かいプロセスがあります。 データが思い通りにいかないのはそういう事ですよね。一つ一つ掘り下げたらキリがないですが、 ある程度のユーザーの深さを知ることにより、掘り下げるべきかそうでないかの判断が出来るようになるのと思うのです。 今回のように因数分解する事で、逆説的ですが一歩ひいた俯瞰の視点を得る事につながるのではと考えています。