2015年8月31日月曜日

ポータルサイト集客の肝は「相対性」/マーケティングで大切な「USP」「3C」と絡めてみました

 ポータルサイトについての記事はあまり見かけませんが、興味あるサイト担当の方は多いはず。まずユーザー視点からポータルサイトの特徴、閲覧傾向について述べ、それを踏まえた上で、サイト担当者の意識するポイントや考え方について書かせて頂きます。途中からそれにマーケティングの話を絡めていきます。販売促進の土台となる内容ですので、ポータルサイトになじみのない方も十分に読む事が出来ます。

 ただ一口にポータルサイトといってもあいまいですよね。ここではある特定の業界に関する様々な情報、コンテンツを持っていて、かつ購入や予約、申し込みが可能なウェブサイト、ECポータル?という事にしときましょう。業界は旅行、ホテル、不動産、人材派遣、ブライダル等を想定しています。

 それにしてもこのポータルサイト、年々存在が大きくなっていきますよね。自社ホームページメインで集客したいけど、どうしてもポータルサイトに頼ってしまう・・・って方、多いのではないでしょうか。
 
 それもそのはず、ユーザー目線で考えれば、購入の際に役立つ情報満載で、複数のサービス、価格が比較可能なポータルサイトを利用するのは当然です。
購入以外にも、ポイント特典や、複数のサービスを同時に申し込めるパッケージ予約もあります。さらに求める情報にアクセスしやすいのも見逃せません。価格順にソートできるのはもちろん、希望の条件を検索、絞り込む事も出来ますし、サイト内検索機能やお気に入り機能もあります。とにかく利用者にとってポータルサイトは便利なんです。

 WEBマーケティング目線で分析すると、大手人気サイトはユーザビリティまで良いです。膨大な情報があるにもかかわらず、情報整理がうまいので見やすいです。EFOも無駄を省いていてスバラシイ。目に見えないノウハウをひしひしと感じます。
さらには膨大なコンテンツのおかげでSEOに強いのも大きいですよね。検索にもひっかかり、口コミというユーザーの生の声を聞けるコンテンツまである。それは利用しますとも。自分もそうですし。

ですので手数料がかからない自社サイトから顧客を取り込みたい気持ちは分かりますが、無理に抗う事はせず、共存共栄を考えましょう。受け入れ可能な限り、ポータルサイトで集客して損する事はありません。そこから自社サイトに流入する事も良くあります。広告ツールと考える事も出来ますね。自分のケースだと今巷で流行っている某飲食系ポータルサイトから、より詳しい情報を求めて直接お店のサイトに訪問する事があります。
 

先ほどユーザー視点から見て、ポータルサイトは複数の異なるサービス同士の比較が容易と言いました。サイト担当者として運用のポイントを掴むためには、ポータルサイトユーザーの行動の特徴を、一般サイトユーザーと比較して理解する必要があります。

その違いを一言で言うと、ポータルサイトは広く浅く、一般ユーザー(ポータルサイト以外)は狭く深くです。

まず一般サイトはサービスの情報量が多いため、詳しく情報収集できます。ただ当然自社の製品しか見る事が出来ません。他社の製品を知りたい場合は、自然検索や広告等で、検索、訪問するという手間が発生します。自然検索画面には不要な情報も交じっていますし、キーワードを考えたりしなければなりません。よってユーザーがサービスを比較検討する範囲は狭まります。

一方ポータルサイトは個々のサービスの情報量こそ一般サイトに劣りますが、自社と競合他社のサービスを1つのサイト、または1ページの中で見ることが出来ます。ポータル(港)、入り口、なだけあって、サービス一覧画面や先述したサイト内検索等、個々のサービスにアクセスしやすい条件が揃っています。ですのでユーザーが吟味する範囲は広まります。


このようにポータルサイトのユーザーは、一般サイトユーザーと比べ、接触するサービスの数が多いと考える事が出来ます。多くの競合の中の1つに自社があり、その中で取捨選択をする横断的な目線が特徴です。


 それを踏まえると相対的視点が集客の肝となります。自社のサービスを客観視して、競合他社と比べる視点が非常に大切です。自社にあって他社に無いサービス(強み)は?またはその逆はどうだろうか。サービスだけでなく、サイトでの訴求方法まで徹底的に比較して、自社のアピールポイントを見出していきます。

 相対的視点の例として、朝のテレビ番組を挙げてみました。(ポータルサイトではないですが面白そうなので)
 ネットや動画に押され気味とはいえ、朝はなんとなくTVを見ているという人は多いはず。
視聴者が多い時間帯だからか、幅広い世代向けの構成になっている気もしますが、
テレビ局ごとに独自の色があり、それぞれ異なる路線を確立しているように見えます。
この中で新たなサービスを提供するとしたらどうしますか?



 
 基本は競合相手と違った強みをPRします。常に競合がやってないことを探し続ける姿勢が重要です。
 私の場合は、「男性向けに特化した番組がない」事に着目しました。
なので、スポーツ色を出す、アイドルや、男性に人気のタレントを起用する。もしくはワールドビジネスサテライトのようにビジネスマン向け、経済路線で行く、などを考えました。
 ただそれだと母数が少なくなりますよね。なので競合と重複を承知で、いかにそれを上回るかと考えるのも一つの手です。このケースに限らず、必ず競合の動向は意識しましょう。
ブルーオーシャンの場合は、サービスの種類、レッドオーシャンなら質を比較する事になるでしょうか。
 恐縮ですが、上記の番組の内容等の真偽は定かではないので、あしからずです。ただ施策や運営の方向性を考える際は、競合他社を徹底的に分析し、マーケットを俯瞰する事に注目して頂ければと思います。
 余談ですが、私たちはマスメディアから学ぶことはまだまだ多いです。企画力からコンテンツ作成のヒントは大いにありますし、CMは広告、動画作成に活かせるノウハウが詰まっています。


 このように自社の独自の強みを作り、他社と差別化を図る販売戦略をマーケティング用語でUSP(Unique Selling Proposition)作りといいます。 
 ただこのUSPは3C分析、(「市場、顧客(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」)に基づいている事が非常に大切です。今述べた競合他社とのかかわりだけでなく、顧客と自社の状況とバランスがとれている事が重要です。

 顧客については、ユーザーが求めているモノに強く焦点を合わせる必要があります。せっかく競合と差別化を図っても、ユーザニーズが無ければ意味が有りません。先の例だと、もし朝の時間帯の視聴者の潜在ニーズが「今世の中に起こっている出来事を知りたい」だとしたら、差別化の程度を抑え、ニーズに沿う事を優先するべきです。
 顧客視点を考える際に大切なのは、自社製品を自分達の評価だけで判断しない事です。良し悪しを判断するのはお客さんです。作り手主導のプロダクトアウトではなく、顧客目線のマーケットインが基本です。成し遂げるまでは、あくまでPULL型です。

 これら2つに自社の経営方針や作成可能な現実的な物的、人的資源を踏まえます。先の例なら、そもそも自社が目覚ましテレビやWBSのような番組を作成できないとなると、話が成立しません。まぁこれは自然とそうなると思います。


 ここまではUSPを戦略上の視点で見てきました。次は表現する視点で見てみます。
 ユーザーに自社製品をPRする際には、USPを意識する事が大切です。
具体的なUSPが表現されているキャッチフレーズを挙げてみましょう。

「空港に近いあるある率NO.1」    ○○レンタカー
「野菜の○○(サービス名)」      ファストフードショップ
「チョコモンブラン発祥の地」       スイーツショップ

思いつきで書きました。覚えていたという事です。誤解を恐れずに言いますと、サービスとしては特段斬新ではないと思います。だとしても、他社にない訴求方法で、分かりやすく伝える事で、顧客を惹きつける事が出来ます。「USPを訴求する」事に価値があるのです。逆に言うとUSPがうまく成り立っていれば、ただそれを表現するだけなのです。

 何を訴求すれば良いかというのは、机の上で頭を捻っているだけでは思いつきません。口コミやアンケート、またはユーザーインタビュー等を実践してみると良いでしょう。例えば上記のレンタカーなら「空港近くで車を乗り捨て出来るところを探していた」等の顧客の声がヒントになります。同様の声が多ければ、顧客ニーズがあるという事です。
  自分たちが気付かない自社の強みを顧客が教えてくれます。


話を競合比較に戻しますと、競合と比較をする際は、自社「サイト」にあって他社「サイト」にないものは?の視点で良いと思うのです。なぜならネットユーザー(特に新規ユーザー)がサービスについて得る情報は、実際のものではなくて、あくまでサイトの情報の中で得るものだからです。
 極端に言うと「実際に商品の優劣」より「サイト上で自社のサービスがどう「見える」かを気にするべきです。何が言いたいのかというと、サイト上で可能な限り自社製品についてPRするのが重要だという事です。(ポータルサイトの場合、量が限られますが)。ユーザーに気づかれない情報はユーザーにとっては存在しないと一緒です。せっかく魅力あるサービスがあるのに、サイトにそれを訴求していない、もったいないサイトを何度も見たことがあります。もちろん盛り過ぎず、事実に沿ったものが前提ですし、長い目で見れば実際の商品の良さが最も大切なのは言うまでもありません。

蛇足ですが、そんなに情報を掲載してもお客はそこまで見ていない、と思うかもしれません。確かに一人が知りたいコンテンツなどはたかが知れています。何故沢山の情報を提供したほうが良いかは、千差万別のユーザーニーズに応える為、それとSEO対策の為です。現在は顧客ニーズが細分化し、個人の検索リテラシーが高まっているので、より重要性は増しています。あるコンテンツがAのユーザーに興味が無くても、Bのユーザーにとっては価値のあるモノかもしれません。
顧客心理を考える時、自分ならこうすると鑑みるのはある程度有効だと思いますが、自分が思う以上に、ユーザー個々の価値観や背景が存在すると考えるべきです。幅広いユーザーの興味のあること、知りたいことに応えるコンテンツを作成するには、周りの人との協力が不可欠です。

3CやUSPは販売促進の基本かつ最重要手法です。ウェブだけでなく、リアルのマーケティングを基に、施策の方向性を定める事が、成功を左右するといっても過言でないと思います。

2015年8月6日木曜日

アナリストの矜持

データと予測が異なる時、異なる理由を明確にして、納得できる仮説を立てようとするか。
それとも理由が明確でないそのデータを受け入れるか。


仮に成果が同じだとしても、次のような違いがあるのではないでしょうか。

前者は試行錯誤により仮説の引き出しを増やす事が出来ます。それは解析士やマーケターにとって大切です。
なぜなら仮説は、データだけでなくサイトやユーザー心理、またはビジネス等のマーケティングを複眼視し、混ぜ合わせたものを創造力、連想力を用いて形にしたものだからです。
仮説の引き出しが多いマーケターは、より成果を生み出せると言えるでしょう。
 仮説に関連して、サッカーのザッケロー二監督も因果関係を考えるタイプのようです。
以下ブログから抜粋です。
試合の勝ち負けからではなく、「何が起きたのか」「何ができたのか」「何ができなかったのか」から入るようにしています。
局面や細部の分析を下から積み重ねて「だからこういう結果になったのか」とたどりつくよう心がけています。
原因と結果を突き止め、後々に活かすことを考えているのでしょう。
ただ後者にもメリットはあります。生産性が増し、多くのタスクをこなせます。当然かもしれませんが会社としては重要です。
シンプルにデータを活かすことは、消費者の多様なニーズを踏まえると理にかなっています。
深く考えすぎずにバッサリと切り捨てるバランスも重要ですよね。
結局は状況に応じてケースバイケースだと思いますが、(記事にもあるように)どちらを選択するかという判断も頭に入れておきたいところです。