2015年10月30日金曜日

ユーザー視点で見たリスティング広告

 リスティング広告そのものとユーザーについて深く考えました。この2つを理解していれば、成果を残せると信じてます。ただ学ぶほどにあれもこれも覚えなきゃってなりますね。今出来る事をやり続けるしかないですが。
 スライドシェア、行ったり来たりで見ずらいです。すみません。ちなみに「P2」のPはスライド番号ではなく、中の右下のページ番号です。


P2  まずはじめに購買行動と、リスティング広告がどう関わるかを把握しておく必要があります。
単純に所有したい、購買する事で他者の注意をひきたい、リラックスしたいという欲求だけでは購買行動につながりません。それに加え、過去の購買が有効だったという経験と、有効であろうという期待があってはじめて、購買行動につながります。

 新規顧客を対象にした場合、施策者は購買するしないそのものに直接影響を与えられるわけではないですが、購買の後押しをすることはできます。それは上記の「期待」を促進させる事。リスティング広告においては、広告文やLPのコンテンツで商品の魅力をPRすることで、購入が有効であろうという期待値を上げる事が可能です。



P3  リスティング広告は、購入の期間や商品の種類が具体的に固まっている顧客を誘導するプル型広告です。商品を購入する為、ネットで検索しているユーザーを刈り取っていくイメージですね。その他の属性の顧客は、SEO等の施策に任せましょう。きちんと施策同士の棲み分けをする事が大切です。
SEOやコンテンツマケティングのように顧客獲得に一定の期間をかける育成型施策ではありません。予算に余裕があればそのうち客に予算をつぎ込んでも良いですが、そう簡単には費用対効果は出ないので、追いかけすぎないことも大切です。
ちなみに検索連動型広告と同種として言われる「コンテンツ広告」、グーグルのディスプレイネットワーク広告、ヤフーのディスプレイアドネットワーク広告、は育成型に属します。尚基本は商品について知識のない新規顧客が対象になります。


P4-5  もう一つリスティング広告の特徴はユーザーエンゲージメントの期間が短い事が挙げられます。基本は商品購入を具体的に検討している「今すぐ客」のため、何度もサイトに訪問するわけではないです。
もちろん商材によりますが、訪問期間は初回のサイト訪問から購入まで、1週間くらいまでが旬、長くても2週間程度でしょうか。それを過ぎてしまうと購入自体をやめてしまうのか、他社で購入してしまうのか、モチベーションが下がってしまいます。そういう背景を理解して訴求を行う事が大切です。鉄は熱いうちに打て、ですね。
その為にはリマーケティングで一度自社サイトを訪問したユーザーの再訪を促したり、期間限定の訴求(特典や広告文)や、不安を解消させるコンテンツで、購入の背中を押してあげます。
その他ユーザーの離脱を防ぐには、出来るだけ1枚完結型のランディングページにする事や、余計な動線を配置しない等があります。


P6  WEBマーケティングの施策の中でも、リスティング広告はPDCAの重要度が大きな施策です。その理由をいくつか挙げていきます。第一に施策に即効性がある事です、広告文を作成するとすぐに出稿することが出来ますし、 入札金額もリアルタイムで操作できます。
またその効果はアドワーズやグーグルアナリティクスで詳細かつ容易に検証する事が可能です。設定もそれほど時間はかかりません。SEOやサイト作成はどうしても時間がかかってしまいます。

 もう一つの理由は変動性があるためです。オークション制度や競合の外的環境に左右されやすい為、綿密なチェックが欠かせません。データの変動に一喜一憂すべきではないかもしれませんが、変動が顕著な場合は、原因を探る為に仮説を立て、施策を打つ、という事もあるでしょう。
 
 3つ目は労力と成果が比例することです。リスティング広告は入札調整やキーワード関連の設定、複数の広告文の出稿やその効果測定などなど、コントロール可能な幅広いタスクがあります。きちんとトライ&エラーをする事で、方向性が間違っていなければ、効果が見込めるって事ですね。


P7  このページは備忘録です。読み飛ばしてください。今の自分が思いつくのはこんな感じです。

Plan
・検索するキーワードの発見、選定
・キーワード設定、部分一致、完全一致等
・目標獲得単価と予算の決定
・戦略策定 
 施策の目的、方向性 するべき施策の決定
 スマートフォン、ディスプレイネットワーク、リマーケティング
 ヤフースポンサードサーチ、ヤフーディスプレイネットワーク
・競合調査、
 検索結果画面、ウェブサイト、価格
 3C分析
 USP作成
 ターゲティング
 セグメンテーション
・LP戦略

Do→
・アカウント設計、キャンペーン、広告グループ作成
・広告タイトル、文を作成、
・LP制作、
・カスタマージャーニー、ペルソナ、ユーザーシナリオ
・グーグルアナリティクスとの連携
 アドワーズ
 ヤフースポンサードサーチ
Check
・効果検証 
 グーグルアドワーズ
 グーグルアナリティクス

Action
・改善施策
 ターゲット、キーワード選定、
 広告タイトル、文を作成、
 LPを設定、カスタマージャーニー、ユーザーシナリオ
 予算設定
 入札調整
 アカウント構成


P8 せっかくP4-5でリスティング広告とユーザーの接点について述べたので、リスティング広告版のカスタマージャーニーを作成してみました。分かりやすさ優先で、リスティング広告に限定しました。以下は補足です。

行動・・・実際は検索時に広告文だけではなく自然検索欄も見ると思います。

思考、感情・・・ホテルを選ぶ基準を今回は立地だけにしましたが、他にもグレードや食事、価格など色々ありますよね。年齢、性別などの属性や目的によって大きく変わると思います。

比較、検討・・・ランディングページを閲覧した際は、そのページに限らず(この場合はLPだけで完結しないと想定)サイト内にオリジナリティを訴求できていると、ユーザーに自社を印象づける事ができます。即決しないまでも、再訪の可能性を高めることが出来ます。

 ちなみに検索ボリュームは「札幌ドーム ホテル」1600した・・・
 検索結果画面にポータルサイトが占有している場合は、それに負けない広告文を考えないといけません。ポイントはポータルサイトとの差別化。自社ならではの訴求方法があると思っています。占有されてるからこそ、ですね。機会があったら書きます。
 今回はPC用でしたが、スマホだとまた内容が変わってきそうですね。当日予約分とかスマホが多そう。当日限定配信で地域を札幌に設定しても面白そうです。広告文も属性によって使い分けると効果があるに違いありません。例えば平日は出張用、土日はファミリーやグループ用等。あぁ検証してみたい。

P9-11  施策のほとんどの時間をアドワーズやグーグルアナリティクスのデータとにらめっこしていませんか。確かにリスティング広告は入札金額の細かい調整や管理するデータも膨大な為、仕方ない面もあるかもしれませんが、没頭し過ぎると、数字に溺れてしまう事もあります。
客観的なユーザー視点を保つために、ユーザーが閲覧する検索結果画面を定期的にチェックしてみませんか。いわゆるSEMサーチエンジンマーケティング)の視点ですが、意外に見落とされている気がします。
アドワーズ管理画面の「広告プレビュー」で、自社と競合の広告文がどう表示されているか、いや「顧客からどう見えているか」、を確認しておきましょう。ユーザーと同じものを見る事で、顧客視点を獲得出来ます。

 また広告文だけでなく、同じ検索結果画面内でSEOの表示も確認しておきましょう。これら2つの互いの位置関係を把握する為です。特定のキーワードで検索時、広告文、SEOの両方が検索結果画面に表示されている場合は、検索連動型広告のクリック数、クリック率は自然検索結果の順位によって変わるといわれています。ですがそれがどのくらい変わるかは競合の状況やキーワードの種類など、ケースバイケースだと思います。
例えば自然検索結果の表示が1ページ目と3ページ目では、広告の効果が変動する可能性がありますよね!?色んな角度からユーザーを検証していきましょう。時間がある方は確認してみてはいかがでしょうか。()

 もう1つ個人的にためになると思っているのが、自社と関係ない分野の検索結果画面を見る事です。クリエイティブのヒントになるんですよね。上位表示されている広告文は優れているものが多いです。良い部分を取り入れて、質の向上に役立てましょう。まあこれは検索連動型広告だけではなく、世に出てる全てのキャッチフレーズに言える事ですが。まったく関係ない分野でも自社に結びつけて考えれば、新たなアイディアが生まれるかもしれません。


P12  広告文作成で意識したい訴求方法の一つに差別化があります。リスティング広告はユーザーにとって比較しやすいので、担当者側は、競合他社の中の1つに自社があるという相対的な視点が重要です。このユーザーの傾向を掴んでいれば、他社より一歩先んじた広告文を作成できると思います。
 まずは検索結果画面を見て他社の広告文を確認してみます。価格訴求の広告文が多いですね。ここに同じ路線の広告文で出稿しても埋もれてしまい、ユーザーの目に留まりません。(ユーザーが「格安」等の検索クエリで検索していれば話は別です)
この場合はあえて競合他社と異なる路線の広告文でPRする事も戦略の一つ言えます。
例えば商品の質や利便性を訴求すると、内容だけでなく、「見た目」も差別化され、ユーザーの視認性を高める事が出来ます。

もちろん他の大切な要素とのバランス、

広告文と実際のサービスのマッチング、
そのキーワードで検索するユーザーの心理に応える

が必要ですが、このユニークである事、も意識したい訴求のポイントです。

ちなみに今回の差別化は、訴求軸、でしたが、表現方法を色々工夫すれば、それ自体が差別化になりますよね。
内容が類似していても、クリエイティブの質が高ければ、「ユーザーにとっては違うサービス」です。
自社のサービスをいろんな角度で見つめ、良さを取り出し、さらにそれをどう表現すればユーザーに伝わるか、を考え続けましょう。
まあセンスについては私もあまり言えないですが、テクニックで8割はカバーできるのでなんとかなります。
せっかく良い広告文を作っても、他社と酷似していたら魅力は半減してしまいます。サービスの質が良ければなおさらもったいないですよね。表現次第でサービスの質が変わる、といっても言い過ぎではないと思います。


P13  予算の割り当てはモチベーション(コンバージョン率)の高いキーワードを優先しましょう。「旅館 魅力」「旅館 箱根 日帰り」の2つのキーワードの内、購買意欲が高いと推測できるキーワードは後者のほうです。なぜなら「旅館 魅力」は旅館に関する調べ物をしたい、つまり単純に情報取得が目的だが、「旅館 箱根 日帰り」の検索意図は具体的な場所と行動が表れてるからです。

これらのモチベーションの高いキーワードを集め、キャンペーンを作成すると、費用対効果の高い運用が可能となります。これらのワードに効率よく予算を投入出来るためです。仮に1つのキャンペーンの中にモチベーションの高いKWとそうでないKWが混在していると、モチベーションの高いKWに予算が配分されない事があります。
アドワーズの仕組みとして、検索ボリュームの高いキーワードに予算が集中しやすいからです。検索回数の多いキーワードは、モチベーションが低いため、購買には直結しません

リスティング広告ではこのようなアカウント設計の重要度は大きいです。効率性を高めるために覚えておきたい運用方法です。


P14 リスティング広告やマーケティングに欠かせない考えが、仮説思考です。初めに仮説を立て、検証し、修正しながら施策を進めていきます。ユーザーという不確かなものを確かなものにするのですから、1発で的中する事はなかなかありません。繰り返し仮説検証を行うことで、仮説の精度を高めることが出来ます

P15 仮説はトライ&エラーの積み重ねですが、ただ漠然と考えていては、効率が悪くなってしまいます。施策の軸を定める大切な1歩目の精度を上げるには、仮説立案の為の材料を集める必要があります。
運用初期の段階では、数値データがない為、その材料になるのは、定性分析とリアルのマーケティングです。3C分析やペルソナ分析もそうですが、自社顧客のデモグラフィックや趣味嗜好を出来るだけ把握しておきましょう。そうする事で検索キーワードの予測や広告文の効果を高める確率を増やすことが出来ます。

 仮説を実行する際は、訴求ポイントを明確にする事が大切です。例えば論理的な広告文が効果があるのでは?という仮説があったとしましょう。その場合、広告文には論理的以外の要素は、排除するべきです。感覚的など、他の要素を中途半端に入れてはいけません。何が効果があったのか、がわかりづらくなるためです。検証を繰り返して他の要素を盛り込むならわかりますが、あくまで初期の検証ポイントは、要素は少なくです

 データが溜まったら、アドワーズやグーグルアナリティクスの定量データを基に効果検証をしていきます。数値は客観的な事実を表しますので、それに基づいて良し悪しの判断をします。ここで意識したいポイントは、データという定量分析だけでなく、定性分析も組み合わせる事。データに至った理由を考える事で、より高度な分析が可能になります。何故その広告文のCPAが良かったのか?ユーザーに響いた文言があったのか?それは○○なのか××なのか、改善のポイントを見出していきます。そうする事でユーザーニーズを予測する事が出来ますし、他の施策に転用可能かを検討することが可能になります。検証こそ新たな施策を生む大切な作業です。


P16  データ分析で重要な考え方として大から小で見る事があります。リスティングに限らず全ての分析業務、施策に通じる事です。
初めに大きなデータを見て、ボトルネックが見当たらなければ、一つ下の構造のデータを見ていく、
膨大なデータがあり、かつ構造化されているリスティング広告に必須の考えですね。
具体的には、まず要素の大きいキャンペーンから分析しはじめ、気になるキャンペーンを発見したら、今度はそれを構造する要素の大きな順、広告グループ、キーワードとブレイクダウンしていきます。初めから広告グループやキーワードに焦点をあてる必要はありません。気持ちを抑えて、鳥の目を意識します。
数値も同じように大から小で見ていきます。まず初めに見るのは重要数値のCPAそして次にその一つ下の構造のCVRCPCといった順番です。
真剣に取り組む人ほど、詳細にこだわってしまうんですけどね。ですがそれだと自分の立ち位置を見失うといいますか、客観的な視点を保てなくなります。もちろんデータ数値と、実際のユーザーの行動を照らし合わせる事を忘れてはなりません。


P17  リスティング広告の間接効果を確認することが出来ます。
ここでいう間接効果とは、コンバージョン以前の訪問に対する貢献の事で、貢献したチャネルにアシストコンバージョンがカウントされます。
例えばコンバージョン時に訪問したチャネルが自然検索だったとしても、初回訪問はリスティング広告だった可能性がありますよね。この場合はリスティング広告がアシストコンバージョンになります。
ユーザーの行動を考えると、確認する価値のあるデータですよね。今はマルチチャネル化なので、コンバージョンまでに複数回の訪問、チャネルでサイトに流入するのは当たり前です。
 一見リスティング広告経由のコンバージョンが少ないように見えても、アシストコンバージョンは多いかもしれません。特にリスティングは新規訪問ユーザーの割合が多いはずですから、チェックしてはどうでしょうか。
 またリスティング広告種別のアシストコンバージョンも知ることができます。パラメータを付与する必要がありますが、ディスプレイ広告、テキスト広告、またはリマーケティング広告、それぞれの間接効果を把握することが出来ます。



P18  グーグルアナリティクスの「リピートの回数や間隔」でサイト初回訪問後の一定の期間内のセッション数ごと、または経過した日数ごとのセッション数やページビュー数を確認することが出来ます。
これは「期間」がポイントのリスティング広告にとって価値のあるデータです。
さらに「コンバージョンに至ったユーザー」でセグメントする事で、CVしたユーザーの、初回訪問からコンバージョンまでの訪問回数と日数を把握することが出来ます。
 まぁ、ある程度は知ってると思うのですが、実データで検証出来る事で、施策を打ちたくなりますよね。リスティング広告では、リマーケティングの配信設定に活かすことが出来ます。
例えば初回訪問から5日間までに、CVに至ったユーザー数が多ければ、リマーケティングの配信を訪問から5日間に設定します。さらに入札価格を多めに調整することで、モチベーションの高いユーザーに効果的に広告を配信することが出来ます。


P19  グーグルアナリティクスのインタレスト: アフィニティ カテゴリ レポート。ディスプレイネットワークやリマーケティングのセグメンテーションに役立ちます。


P.20 せっかくフォームまで誘導出来たのに、離脱されては苦労も水の泡です。
離脱率を下げるには、一言で言うとユーザーに必要なことをわかりやすく伝え、手間をかけさせない事が大切です。
EFO(エントリーフォーム最適化)のポイントを一部記載します。

・入力項目を極力減らす。どうしても必要な情報以外求めない。
・手間を減らす。プルダウン、郵便番号を入れたら住所が表記されるなど
・必須任意を必ず表記する。任意は場合によっては削除する。
・現在地を知らせる/ゴールが見えるとモチベーションを保てる
・間違いをその場で知らせる。入力後に知らされるのは精神的に負担がかかる。
・メリットを知らせる。面倒な行為も入力する事で、今後手間が減りますよ。
・入力例を記載しておく。簡単に理解してもらうようにする。

最後まで見て頂きありがとうございます。

2015年10月3日土曜日

リスティング広告とSEOを併用する理由は陣地論にあり!?

 あるキーワードで自然検索結果が1位の場合、同じキーワードをリスティング広告で出稿すべきか?前から言われていたこの議題、SEM関係者の方は聞いたことがあると思います。

 2012年グーグルはオーガニック検索で1位でも、検索連動型広告の出稿で50%クリック数を高められると発表しました。SEOが絶好調でもリスティング広告を買うべき理由(記事後半)
 ただ言葉だけ聞いてもピンときませんよね??SEOで1位なんだから、リスティングに出稿してもクリック数は変わらないんじゃない?と思っている人もいるはずです。私も以前聞いたときはそうでした。
 総クリック数が増加する理由は、結論から言うと、検索連動型広告に出稿する事で、同じく出稿している競合に、ユーザーが流入してしまうのを防ぐ事が出来る為です。リスティングとSEO、それぞれ別に考えていると、捉えきれない話ですよね。
 そのメカニズムを理解するには、SEOとリスティング広告を同じ視点で考えなければなりません。


ユーザーにとってはリスティング広告もSEOも同じ


 自分が検索する時、自然検索をクリックするか、リスティング広告をクリックするか初めから決めていますか? 検索者がたまたま目についたのが広告なだけであって、検索時にどちらをクリックしようと決めている人はあまりいないと思います。(最近は広告スペースと認識されてきたかもしれませんが)運営者目線からすると、SEOとリスティングは施策内容が全く違うから、自然と「別物」と考えがちです。ですがユーザーからすれば2つは同じ「検索結果」なのです。このグーグルの調査結果はそれを顕著に表してるのではないでしょうか。


リスティング広告の本質は陣取り合戦!?

 
 もう一つこの調査結果を因数分解する上で、考えさせられることがありました。それはリスティングもしくはSEMの本質といいますか、クリックされる事だけ考えるなら、やっぱり「陣地の影響」が大きいのではという事です。自然検索と同じ内容(と仮定します)の広告文にもかかわらず、出稿する事で、クリック数が50%増加するというのは、単純に陣地の位置、広さがクリックに影響を与えると考えざるを得ません。
 なぜなら検索時のユーザーの頭の中は以下のようだと思うからです。
 まず検索キーワードがブランドワードの場合、ブランド名で検索するユーザーは、検索した段階で、目当てのサイトが決まっていますよね。にもかかわらず他社に流出してしまっている。これはとても考えづらい事です。人は、頭の中にない事は目に入らないからです。(心理学でいうカクテルパーティ効果)
だけどデータが事実を証明している。ブランドワードで検索されてるのに、SEO一位である自社がクリックされない。
考えられる状況は、競合他社が自社よりも良い位置に掲載されている、くらいしか思いつきません。つまり競合他社が広告により上位表示されていた為、ユーザーは先に目に入った他社の広告をクリックしてしまった、のかなと。図1)
自社に訪問しようとしたユーザーが、自社を「素通り」するのは想像しがたいです。なので競合がクリックされた原因は位置的要素だと推測します。

 本当にそれだけで50%も高くなるのか?って感じですよね。あくまでデータの枠内で推測したものなので、証明より論を楽しんでいただけたらと思うのですが・・・もう少し細かいデータを知りたいですね。



 つい先日これに関連するヤフーの記事、なぜスポンサードサーチとSEOは両方必要なのか、の中で興味深いデータがありました。SEOとスポンサードサーチの併用をやめてしまった場合、オーガニック検索からの獲得ユーザー数はやめる前と比べてPC36%減、スマートフォンは77%減となったそうです。とくにスマホは陣地の効果を如実に表していますよね。やっぱり上位表示、専有面積の影響は大きいのかなと思います。
 これって結構認めたくないんですけどね。併用するメリットはそんな単純な理由かい?って。広告文の質もクリックに貢献していると思いたいです。それとも広告文とSEOスニペットそれぞれ異なる内容で、質も良かったとか。それでも50%も増加となると、うーん(笑)

 まあこのケースに限らず、検索結果画面を見ていて、この広告文がクリックされているとしたら、その内容よりも、単純に「いい位置にあるから」じゃない?と思う事があります。コンバージョンしているかは別ですけど。それがきっかけで今回の陣地論?を思いつきました。

 ブランドワード以外のキーワードの場合は、クリックされる要素は陣地だけではないですよね。ユーザーは目当てのサイトはまだ決まっていないですから。ここがブランドワードとの違いです。広告文の質がより重要になります。
ユーザーがクリックする可能性がある他の選択肢は、ナレッジグラフ中のECサイトのリンク、ブランドワードよりも多い競合の数、などが挙げられるでしょうか。これらも陣地と言えば陣地ですね・・・でもこれならSEOに加え広告を出稿するメリットを見出せそうです。50%はある程度納得できます。この場合出稿の目的は、本来のPULL型、つまり競合への流入を防ぐというよりは、自社を認知してもらう為という事になります。


 まあ実際併用の効果がデータで実証されているので、するべきだとは思うのですが、自分で検証してみると独自の発見があるかもしれません。一番目のリンク記事によると、キーワードの種類によってデータが大きく異なるそうです。
 担当者としては、何も施策をしてないのに総クリック数が増加している場合は、競合が出稿を取りやめたのではと予測することが出来ますね。あくまで可能性の話ですが。意外に外的要因って気付きづらいのでは?検証可能なうらやましい方は、是非結果を教えてください。