2015年11月26日木曜日

ウェブマーケティングと心理学:「類似性とカクテルパーティ効果」

 自分と似ている他者が満足したモノなら自分も満足するに違いない、このような心理を心理学の法則で類似性といいます。

ウェブマーケティングに応用すると、ホームページのコンテンツ作成に役立ちます。例えばある宿泊サイトの口コミに、幼児連れの宿泊でしたが、幼児用の貸出品が豊富で助かりました。と掲載されていたとします。もしその口コミを同じ属性(幼児連れファミリー)のユーザーが見れば、自分も同じように満足するのではと思うわけです。

他には「改善事例」、「利用者のインタビュー」、または掲載する人物の写真等に応用可能です。例えば改善事例だと、BtoBで自社と似た会社が、あるサービスを利用して成果を上げていれば、そのサービスに興味を持つという事です。

 テレビCMもこの類似性の効果を利用しています。例えばある車のCMで30代男性の芸能人が出ていたとします。それを見て気になるのは、30代の男性、もしくはそれに近い年代ですよね。企業側からすると、30代男性の芸能人を起用する事で、ターゲットに対し、このCMはあなた向けの商品ですよとPRしているのです。

 単純な例でしたが、発信側が知るべき本質は、いかにして自分向けの情報だと思わせるか、です。その為にはまずユーザーニーズを知る事からですよね。


類似性と似ていますが、心理学でカクテルパーティー効果というものあります。「音声の選択的聴取」や「選択的注意」と呼ばれています。どういう事かというと、カクテルパーティというにぎやかな場所で、周囲の人も自分の対面の人も同様のトーンで話しているにも関わらず、対面の人の声だけは、聞こえてくる。
つまり人は自分に関心のある事は頭に入ってくるけど、関心のない事は頭に入らないって事です。ウェブマーケティングにおいては情報提供の際に、自分向けの情報だとユーザーに思わせて、関心を惹きつける事が出来ます。

具体的にはナビゲーション作成や広告文、またはキャッチフレーズやタイトル等、文言全般に有効です。例えば文言に属性を盛り込む、「ビジネスマン」、「ファミリー」、「カップル」と記載する事で、該当のユーザーの意識をこちらに向けることが出来ます。
他にはコンテンツの「このような方にオススメ」とか「初めての方へ」もこの効果に当てはまります。

応用編としては「目的別」「用途別」のナビゲーションがあります。ホテルのHPですと「記念日で泊まる」「ペット同伴で泊まる」等です。
その文言を見た該当ユーザーは、リンク先に自分が求めている情報があるに違いないと思うはずです。

この2つの違いはウェブマーケティングの観点から見るとかなり判別しづらいですよね。しいて言えばカクテルパーティ効果は、消費行動モデルの入り口、少し古いですがAISASだとAttentionの「認知」、類似性は認知とその後の、Interest 「興味」かなと思います。コンテンツの内容までが範囲って事です。
それぞれの詳細は下記の参考リンクを読んでみて下さい。かなり面白いです。

ちなみに認知の定義ですが、厳密にいうとAISASにピタっとはまるわけでなく、HPのコンテンツか広告なのかによって変わってきます。広告だとサイト訪問前の自社の認知、コンテンツだとサイト訪問後の、自分向けの情報の認知です。

心理学の効果って目に見えませんが、かなり重要だと個人的に思っています。人が情報を得る際は、このような「無意識の判断」を繰り返しているからです。
供給側はそれを踏まえる事で、ユーザーに「分かりやすく」情報を伝達する事ができると思います。

参考サイト

『類似性の構造と判断――他者との比較が消費者行動を変える』を執筆して
http://www.yuhikaku.co.jp/static/shosai_mado/html/1403/13.html

私たちの脳は面白い! 「カクテルパーティー効果」に見る上手な意識の使い方
http://www.huffingtonpost.jp/lealta/post_7893_b_5533026.html