2015年6月5日金曜日

自分の検索キーワード履歴を分析してみた。検索キーワードにはドラマがある

キーワードを「ユーザー軸」で分析する



「グーグル履歴」で、過去に検索した自分のキーワードの履歴を見てみました。 キーワードを「ユーザー軸」で分析する事で、検索時のユーザー心理を理解できないかと思った為です。
普段私たちがアクセス解析等で分析するキーワードは、「サイト単位」のキーワードですよね。 つまり一つのサイトに訪問する為に、不特定多数のユーザーが検索したキーワードかと思います。(現在は「not provided」でほぼ把握できませんが) 確かにそれはサイト訪問時の検索ユーザーについてわかるかもしれませんが、1サイトに限定された情報です。ですので汎用性がありません。
そこで今回は1ユーザー(自分のですが苦笑)が用いた検索クエリを時系列で比較してみました。 その内容や関係性を分析する事で、検索行為そのものの理解につながる「普遍的な」特徴が見えてきました。

角度を変えてユーザー(検索クエリ)を見ることで、検索行動だけでなくビッグワードについてもわかることがありました。ビッグワードに含まれるユーザーの意図です。 これはSEMやリスティング広告に役立つのではと思います。
もちろん数あるユーザー傾向の一例かもしれないです。データの母数が少ないですし。 ただ出来るだけ普遍的な特徴を取り上げました。皆さんも自分が検索する時を振り返ると、思い当ることがあると思います。
例えば自然検索時、直前に検索したKWに1語追加して再検索することありますよね?
よくあることだと思うのですが、そうする理由を考えたことありますか?自分の検索行為を客観的に振り返る事って、そうないのでは思います。 ちなみに私が考える理由は、初回検索時、検索結果画面に求めている情報が見当たらなかった為、です。 ただそれはユーザー軸でクエリを比較してこそ予測可能なことです。
グーグルが優れたユーザー目線を持ってるのは、こういう踏み込んだデータを膨大に所持している為かなと思いました。
けっこうユーザーを深掘りしてるので、ミクロ視点の一例になれば幸いです。

ユーザーは大から小で検索する

例1.
1回目の検索時の検索クエリ →  「引っ越し 業者」
2回目の検索時の検索クエリ →  「引っ越し 業者 単身」
一回目は2語、数分後に1語追加して再検索しています。再検索に至った理由は、1回目の検索で、期待したコンテンツが見当たらなかった為、と予測できますよね。 初めに大きなワードを入力して、ニーズが解消されない場合は、絞り込んだ検索をする、という傾向が伺えます。同様の傾向は他の検索クエリにもありました。

ビッグワードのメカニズムとそれを踏まえた運用の仕方

さらに検索者の(私ですが(笑))目的を「引っ越し 業者 単身」というクエリの内容から推測すると、 「単身向けの引っ越し業者を探したい」可能性がかなり高い事がわかります。にもかかわらず1回目は「引っ越し 業者」で検索している。
これは担当者として、ビッグワードをハンドルする大きなヒントになるのではないでしょうか。
つまり具体的な目的を持ったユーザーが、抽象的なKW(ビッグワード)で検索しているという事です。 それを踏まえると、どういう訴求方法が良いでしょうか。 抽象的な訴求では、不要なクリックがかさんでしまいます。特にリスティングでは本来の目的である費用対効果が出ません。
効果的に自社にマッチしたユーザーを集めるには、広告文やス二ペットにターゲットの属性名やメリットを具体的に盛り込む事が大切です。 そうする事で、自社に興味、関心があるユーザーをある程度特定することが出来ます。
例えばファミリー向けの引っ越し業者である自社が「引っ越し 業者」で出稿したとしましょう。「ファミリー」と広告文に盛り込むことによって、 CVに結びつきづらい単身向けを探しているユーザーのクリックを減少させる事が出来ます。
検索ボリュームが多いってだけで、とりあえずビッグワードを出稿していませんか。 幅広く訴求出来るのでは?という気持ちは分かるのですが、あいまいなイメージに沿うのではなく、あえて能動的に絞り込む事が大切です。 仮に効果が薄い場合でも、抽象路線に変更せず、具体的訴求でリトライするべきです。

何故ビッグワードはCVが高いのか

これまでの話だとビッグワードの検索母数が少ないのでは、と思った方もいると思います。もちろんビッグワードですから、他にも様々なユーザーの意図を含んでいるはずです。 例えば「ファミリー向けの引っ越し業者を探したい」というウォンツを持ったユーザーは「引っ越し 業者 ファミリー」だけでなく、 「引っ越し 業者」で検索する可能性があると考えています。
このような各シチュエーションのウォンツが幅広く集まっているので、ビッグワードは検索ボリュームやCV数が多いと推測することができます。

ユーザーは必ずしも意向に沿ったキーワードで検索しているわけではない

例1の1回目の検索KWは、なぜ「引っ越し 業者 単身」ではなく「引っ越し 業者」だったのか。検索時の状況を思い出しながら、 いくつか考えてみました。
  • 複数のキーワードを入力するのが単純に面倒だった。大まかなKWでも、求めている情報が検索結果画面に表示されるかもと思った。
  • キーワードがパッと思い浮かばない。知りたい内容は頭に浮かんでいるのに、適切な検索キーワードが思いつかない、 そんな歯痒い経験はありませんか? 不馴れなジャンルほどその傾向があるのでは。 検索ワードの想起としては、スニペット、サジェスト機能、虫眼鏡キーワードがありますね。 実際例1のキーワード「単身」の想起になったのは、3つの内のどれかだと記憶しています。担当者はこれらをチェックする必要がありますね。
  • サジェスト機能利用の際、良く検索されるキーワードなら、対応するコンテンツも多いのではと考えました。 これは多少の検索リテラシーをユーザーが持っている事が条件ですが。
  • ポータルサイトを利用しようと思った。とりあえずポータルサイトに訪問してみようと思った記憶があります。 担当者は「競合」にポータルサイトがないか、チェックする必要があります。実際に検索して、 検索結果画面を確認するべきです。

抽象的なキーワードは新規顧客、具体的なキーワードはリピーター

数は多くなかったですが、小から大で検索しているパターンもありました。
例2.
1回目の検索時の検索クエリ →  「パスタ 小松菜 ツナ ホワイトソース」
2回目の検索時の検索クエリ →  「パスタ 小松菜 ツナ」
1回目の検索で絞り込み過ぎて、読みたいコンテンツがありませんでした(笑)
ここから言えることは、知っているジャンルの場合は、細かくピンポイントで検索する事がある。 だから3,4語のキーワードはCVRが高いかなと予測できます。
3,4語のキーワードで検索する理由は、
  • よりマッチした情報を取得したい
  • 少ない回数で効率よく検索したい
などでしょうか。この大→小、小→大の傾向を考えると、
  • 抽象的なワードは新規顧客
  • 具体的なワードは既知顧客やリピーター
とも言えますね。
尚お分かりだと思いますが、この記事では実際に「引っ越し 業者」で検索した際どういう情報が得られるのか、 それがビッグワードなのかは重要ではありません。自然検索時のアプローチの仕方に焦点を当て、そこから何が言えるのかを考察してます。

マクロを知るにはミクロを知る

ユーザーニーズは千差万別で、それぞれに細かいプロセスがあります。 データが思い通りにいかないのはそういう事ですよね。一つ一つ掘り下げたらキリがないですが、 ある程度のユーザーの深さを知ることにより、掘り下げるべきかそうでないかの判断が出来るようになるのと思うのです。 今回のように因数分解する事で、逆説的ですが一歩ひいた俯瞰の視点を得る事につながるのではと考えています。

2015年6月1日月曜日

自然検索から流入するユーザーが優良なのはなぜだろう?



「CLVが最も高い顧客はオーガニック検索を経てアクセスしてくる顧客」との事なので、理由を考えてみました。何も考えず正しいと思い込むのはどうかと思いますし、知識だけだとほぼ得るモノがないですからね。とりあえず2つ浮かびました。

1、他の流入チャネルと比べて情報を吟味しやすい。

 検索結果画面を一つのサイトだけが表示されることはまれで、競合他社のタイトルやスニペットなども同時に表示されます。そこには当然ユーザーを惹きつけるための商品紹介やメリットが訴求されています。ユーザーはその中から満足する買い物をするために比較検討をするわけです。実際にサイトを訪問してからも、複数のサイトを見比べ、自分に合うかどうかを見定めます。またレビューサイト、比較サイトを見てより多くの情報や実際の利用者の生の声を得ていくでしょう。そんな取捨選択を経て選んだ商品は満足する買い物である確率が高いはずです。高額商品であるほど一度で決めず熟考するので、時間や手間に比例して企業との結びつきは強くなると思います。

2、検索は能動的な行為

 情報を得るために検索する事自体が能動的な行為です。検索の過程で例え良質な広告などが露出されていたとしてもPULLされず、最終的に自分で考えて購入に至る。このようなユーザーは企業にとって再度アクションを起こしてくれそうな優良な顧客になっていくのだと思います。 

P.S流入チャネルごとの良しあしを言っているわけではないのであしからずです。